フードロスとは？大学生が知っておきたい現状と、身近なところから始める削減アクション
フードロスとは何か、なぜ社会課題なのか
「フードロス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指します。私たちの食卓やお店、食品を製造する工場など、様々な場所で発生しています。
フードロスは単に「もったいない」だけでなく、地球環境や経済、そして倫理的な側面からも深刻な社会課題となっています。世界中で多くの人々が飢餓に苦しむ一方で、大量の食料が捨てられているという現状は、無視できない問題です。
しかし、フードロスは遠い問題ではありません。私たちの日常生活とも深く関わっています。これから、フードロスの現状を知り、なぜそれが問題なのか、そして私たち大学生がどのように関わることができるのかを考えていきましょう。
フードロスの現状と引き起こされる問題
日本国内だけでも、年間で約523万トン（2020年度推計値）ものフードロスが発生しています。これは、日本人一人当たりがお茶碗一杯分のご飯を毎日捨てている計算に相当します。このうち、約半分の247万トンが家庭から発生しています。
なぜ、これほど大量のフードロスが発生するのでしょうか。その背景には、家庭での食べ残しや期限切れ、お店での売れ残りや規格外品、製造・輸送過程での破損など、様々な要因があります。
フードロスが引き起こす問題は多岐にわたります。
- 環境負荷: 捨てられた食品は多くの場合、焼却されます。この際に大量の温室効果ガスが発生し、地球温暖化を加速させる要因となります。また、焼却灰の処理や埋め立てによって、土地や水の汚染につながる可能性もあります。
- 経済的損失: 本来食べられるはずだった食品を捨てることは、生産にかかった資源（水、エネルギー、人件費など）やコストが無駄になるということです。これは、個人や企業の経済的な損失であるだけでなく、社会全体の大きな損失となります。
- 倫理的な問題: 世界には十分な食料が得られずに飢餓に苦しむ人々がいる一方で、食べられる食料が大量に捨てられているという状況は、倫理的に許容しがたいものです。
これらの問題は複雑に絡み合っており、フードロス削減に向けた取り組みが喫緊の課題となっています。
大学生にできるフードロス削減アクション
フードロスという大きな社会課題に対して、「自分に何ができるのだろう？」と感じる方もいるかもしれません。しかし、一人ひとりの小さな行動が集まることで、大きな変化を生み出すことができます。大学生である皆さんが、日々の生活や少しの意識変化で取り組めることをいくつかご紹介します。
1. 日常生活での工夫
最も身近なアクションは、自分の生活の中でフードロスを減らすことです。
- 買い物を見直す: 必要なものを必要な分だけ買うように心がけましょう。買い物の前に冷蔵庫の中身を確認したり、買い物リストを作ったりするのも効果的です。見た目が少し悪くても、味に問題のない「不揃い品」を選んでみるのも良いでしょう。
- 食品の保存方法を工夫する: 食品を適切に保存することで、鮮度を長持ちさせ、傷んでしまうのを防げます。冷蔵庫や冷凍庫の正しい使い方を知り、工夫してみましょう。
- 食べきる工夫: 買った食材は使い切る、作った料理は食べきることを目指しましょう。残ってしまった料理はリメイクしたり、保存したりするなどの工夫ができます。外食時にも、食べきれる量を注文したり、持ち帰りが可能か聞いてみたりするのも良い方法です。
- 賞味期限と消費期限を理解する:
- 消費期限: 安全に食べられる期限を示しています。この期限を過ぎた食品は食べない方が良いとされています（生ものや弁当など傷みやすい食品に表示）。
- 賞味期限: 美味しく食べられる期限を示しています。この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。見た目や匂いなどを確認して、食べられるかどうかを判断することが大切です（スナック菓子や缶詰など傷みにくい食品に表示）。この違いを理解するだけでも、廃棄を減らすことにつながります。
2. フードロスに関する学びを深める
フードロスについて詳しく知ることは、問題意識を高め、より効果的な行動につながります。
- 情報収集: フードロスに関するニュース記事や書籍、ウェブサイト、ドキュメンタリーなどを通じて、現状や企業の取り組み、自治体の活動などを調べてみましょう。
- 関連イベントへの参加: 大学の講演会や地域のイベントなどで、フードロスをテーマにしたものが開催されることがあります。積極的に参加してみることで、新たな知識や関わり方のヒントが得られるかもしれません。
3. 社会的な活動に関わってみる
日常生活での工夫だけでなく、社会的な取り組みに関わることも可能です。
- フードバンク・子ども食堂: フードバンクは、まだ食べられるのに様々な理由で市場に出せない食品を引き取り、支援を必要とする人々に無償で提供する活動です。子ども食堂は、地域の子どもたちに食事を提供する場ですが、しばしばフードロスとなる食材を活用しています。これらの活動でボランティアとして関わることも、具体的なアクションの一つです。食品の仕分けや配達、調理補助など、様々な形で貢献できます。
- 啓発活動: 大学のサークル活動やSNSなどを通じて、友人や周りの人々にフードロス問題や削減方法について伝えることも、社会への働きかけになります。
- 企業の取り組みを知る: 食品関連企業の中には、フードロス削減や食品リサイクルに積極的に取り組んでいるところがあります。そうした企業の活動を知り、応援することも間接的な関わり方と言えるでしょう。
まとめ：自分らしい一歩を見つけよう
フードロス削減は、地球にも、経済にも、そして社会全体にとっても良い影響をもたらす重要な取り組みです。初めから完璧を目指す必要はありません。まずは、この記事を読んで興味を持ったことから、何か一つ行動に移してみることが大切です。
買い物での意識を変えてみる、料理を工夫してみる、フードバンクについて調べてみるなど、自分にできること、自分が「これならできそう」と思えることから始めてみてください。そして、もし興味が深まれば、さらに踏み込んだ活動にも挑戦してみるのも良いでしょう。
フードロス削減への関わり方は一つではありません。自分自身のライフスタイルや関心に合わせて、あなたらしい一歩を見つけてみましょう。その一歩が、持続可能な社会の実現につながる大切な力となります。